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<ビジネス書>観光学を勉強した話

本の紹介

「無理しない」観光 福井一喜作 初版2022年
読書時間:6時間
オススメ度(5段階評価):2
#観光学#文系#価値の多様性

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「無理しない」観光 価値と多様性の再発見 [ 福井 一喜 ]
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はじめに

観光学について書かれている本を紹介します。「観光」を生業にするための本です。おすすめの観光スポットや旅行グッズなどについて書かれているわけではないです。

ちなみに僕は理系出身で経済などについてはかなり疎いので読むのに苦労しました。地域活性化や自治体の財政、サービス業の実情について勉強できました。観光学の専門書を読んだのは初めてなので、解釈を間違えている所があるかもしれません。もしあれば、訂正をお願いします。

概要

僕の産まれは山口県岩国市です。錦帯橋や米軍基地、日本酒などが有名な観光にも力を入れている街です。広島からも近く多くの観光客が来ています。また、日本三景の宮島も近いため「観光業」は比較的身近です。

本書は多くの内容が書かれていますが、僕の心に残った3つのことを紹介していこうと思います。①観光業で格差が広がる②観光で稼ぐことは難しい③観光は暮らしやすい地域を作る

観光業として地域復興を目指すことは想像以上に難しいです。まず観光業はサービス業です。サービス業は在庫を抱えた商品を売るわけではないので、今日売れなかった空室を明日売ることはできません。また、何かのサービスを受けている時は他のサービスを受けることはできません。東京を観光している人が札幌でラーメンを食べることはできないということです。そのため、全国のお客さんを色々なサービス業で取りあうということです。すべてのサービス業がお互いのライバルとなります。

今回取り上げる内容以外に、ホテル予約サイトの必要性、コロナ後の観光業の変化、観光により実際に復興した地域や逆に文化が変化してた地域などについて書かれているので興味がある方は本を読んでみて下さい。

内容

そもそも観光とは

観光は裾野が広く産業発展の可能性に満ちたものです。「観光」は観光業や宿泊業だけから成り立っているわけではありません。観光地に行くために交通機関を使い、現地では食事やお土産を買います。宿では食材や調理設備を提供する会社が出入りしています。ベッドのシーツはクリーニング業者が、客室は清掃会社がきれいにしています。そして、観光をPRするのにIT企業やメディアが関わってきます。「観光」は様々な業種の複合体なのです。

コロナ渦前の日本では訪日外国人の数も増え、東京オリンピックに期待する声もありました。日本は観光大国として国を挙げて政策しています。

観光業で格差は広がる

実は観光業を推進することで格差が広がっているという側面があります。サービスを受ける人(旅行者)と提供する人(従業員)、正規雇用と非正規雇用、大都市と地方都市などで格差が生じています。

まず、旅行者と従業員の間で格差が存在します。高級ホテルを例に出します。高級ホテルに宿泊する人はそれなりのステータスの人で、一回の旅行にそれなりの金額を使います。ではその高級なホテルで働く従業員はそのホテルに泊まることは出来るでしょうか。泊まるは出来るかもしれませんが、気軽泊まることは難しいでしょう。

次にサービス業における正規雇用と非正規雇用の差はどうでしょうか。サービス業は「モノ」という在庫を売る商売ではないため、今日の空室は明日売ることはできません。繁忙期に従業員はたくさん必要ですが、そうでないときには従業員は少ないほうが経営的です。非正規雇用を時間給で雇うことで安い賃金で繁忙期の人手を確保しています。

大都市と地方都市ではどうでしょうか。地方都市の方が観光には有利と考えてしまいますが、実際はそうでもないです。「観光」は宿泊業と観光業だけでは成り立ちません。清掃業、交通業、メディアなど様々な企業が集中している必要があります。企業は仕事量を考えて大都市は地方都市に比べると企業の集中率が高いです。特に、知識を売りにしているIT系の会社やメディア系の会社は大都市に集中する傾向があるようです。そういう観点からも大都市の方が観光には有利になります。

観光で稼ぐことの難しさ

観光とはサービスの集合体です。日本は「モノ消費」から「コト消費」に転換しています。「コト消費」とは体験などのサービス消費を言います。サービスは観光だけでなく、マッサージ、小売店の接客、介護、美術展覧会、コンサートなど幅広い分野があります。大切な事として、同じ消費者があるサービスを受けている時は他のサービスを受けることはできません。ご飯を食べながら、水族館を見て回ることはできません。そのためサービス業全体として、お互いにお客さんの取り合いをしているのです。観光業のライバルはサービス業全体となるわけです。

また、サービス業は良くも悪くも人間にしかできません。AIや機械でシステム化が難しい分野です。AIや機械は導入や研究費こそお金はかかりますが、低コストで利用することが出来ます。サービス業は人間にしかできないからこそ高いコストがかかるのです。

サービス業の大きなリスクが2つあります。それが「今日の空室は明日売れない」、「人間にしかできない仕事だからこそ高コスト」。これらを言い換えると「損失が発生しやすく」、「経営が高コスト体質」となります。これら2つのリスクを回避しようとすると格差が広がっていきます。例えば、非正規雇用を増やすことやサービスの値段を下げることが対策としてあげられますが、従業員、サービスの質に格差が出てきます。

観光は暮らしやすい地域を作る

観光の良くない面ばかりを上げていたので良い面を最後に紹介します。

本書では岩手県の平泉と石川県の和倉温泉が書かれています。どちらの地域も観光業により町が発展し、より住みやすい地域になった良い例として紹介されています。

2011年に世界遺産に登録された平泉。平泉には850年に開山された中尊寺を中心に仏国土を表す建築・庭園および考古学的遺跡群があります。この土地は昔から歴史を活かした景観の街作りが進められていました。市街地は商業化されず、和風景観に統一されるように取り決めがされています。世界遺産への登録運動が拍車をかけ、地域住民みんなで歴史的な街を守るようになっていきました。世界遺産への登録により町の風景が変わってしまうことも多い中、平泉は世界遺産登録により街全体が守られた土地と言えます。

続いて和倉温泉はどうでしょうか。こちらは子育てのしやすい観光地となっているようです。ホテルや旅館の客室係は女性が多く、仕事が早朝から深夜までなることが多いです。そのため、仕事と子育てとの両立が難しく、離職率は高かったようです。そこであるホテルで取られた対策が保育園を併設した母子寮でした。深夜遅くまで預けられるシステムが構築されたのです。この取り組みがきっかけで街全体として子供を夜遅くまで預けられるシステムが浸透していきました。観光を通して街全体が活性化した良い例です。

まとめ

観光業を考えることはかなり難しかったです。地域復興や観光大国などという言葉はニュースでよく聞いていましたが、実際のところは良く分かっていませんでした。「観光」はお客さんとして楽しんだことはありますが、「観光」を作る側のことは考えたことがなかったです。「観光」を作るということは地域復興、経済の流れ、人の流れなど総合的に見ていく必要があります。観光客に楽しんでもらうことは大切ですが、その地域の住人が疲弊してはいけません。観光業が原因で貧富の差が拡大してもダメです。無理をして観光業にシフトするのではなく、今ある文化で今の状況や土地風景を崩さないように観光業に力を入れるのがいいと思いました。この本を読んだことで、ニュースで「観光」を取り上げていると今までとは違った視点で見ることが出来そうです。

もし今回まとめた内容で間違えている箇所があれば、ご指摘お願いします。

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