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<医学書>ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.5

薬剤師向けおすすめ書籍
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子犬さん(子)
子犬さん(子)

お父ちゃん今日は糖尿病を勉強するための本を紹介するんだね。わかりやすく頼むぜ👍

ぶたさん(夫)
ぶたさん(夫)

薬剤師1年目はどんな本を読んだらいいか悩むからな!任せとき👍

1年目でも勉強できる!薬剤師として糖尿病を勉強

今回薬剤師視点で糖尿病の基本が勉強できる本を紹介します。薬剤に関する項目を紹介して治療、診断や病態をお話します。臨床的な事を学ぶのに薬剤師としての経験年数は関係ありません。もしかしたら、国家試験を終えたばかりの1年目の薬剤師さんの方がフレッシュに色々知っているかもしれません。

今回紹介する本は経験年数に関係なく学べる項目が多いです。実際の患者さんを考えながら読むと、より理解が深まると思います。

 

ここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.5で学べる事



本書は薬剤についてはもちろんの事、診断や病態、高血糖高浸透圧症、糖尿病性ケトアシドーシスなどかなり深いことまで学ぶことが出来ます。薬剤師だけでなく、看護師、医師、研修医が読んでも学びのある内容だと思います。高血糖高浸透圧症、糖尿病性ケトアシドーシスは血糖値が500を超えて突然患者さん救急で来るので基本がわかっている方は、こちらを勉強しておきたいです。

症例ベースで書かれているのでまだ調剤室しか経験していない薬剤師さんでも想像がしやすい内容となっています。



薬剤師としてここが知りたい!糖尿病診療ハンドブック Ver.5を読んでいく順番

薬剤師さんが本書を読む際前から読まないようにしてください。450ページあるので薬にたどり着く前に心が折れます。大切な所から読んでほしいのでその順番を書きます。

①薬についてはP71-180
②糖尿病に関する病態についてP231-410
③糖尿病の基本事項についてP2-40

必要な箇所だけ読んでいきましょう。妊娠や小児、手術前管理なども含まれていますが、自分の業務とは関係ないところは読み飛ばしてください。また、病態の所でも網膜症や歯周病など薬剤師にはどうすることも出来ない箇所は読みとばしましょう。

薬を勉強する前に生体内のインスリンのおさらい

生体内でインスリンは常に出ています。それが上の写真で言うところの基礎分泌です。基礎分泌は随時血糖を下げます。
食事の後に分泌されるインスリンが追加分泌です。追加分泌は食後血糖を下げます。

糖尿病薬を理解するには基礎分泌追加分泌どちらを補うのか考えたら理解しやすいです。インスリン製剤でいうと、基礎分泌を補う持効型インスリン(ランタスやトレシーバなど)と追加分泌を補う即効型のインスリン(ノボラピッドやヒューマログなど)があります。中間型や混合型は話が難しくなるので一旦忘れましょう。初めは持効型と即効型を使いこなせるようにしましょう。

糖尿病内服薬の推奨

禁忌などが無い限りはメトホルミンが第一選択となります。心不全やCKD(慢性腎臓病)、動脈硬化性疾患がある場合はSGLT2阻害薬かGLP-1受容体作動薬を使用します。DPP-4阻害薬は上記の疾患が無い時にGLP-1受容体作動薬の代わりに選択します。

メトホルミン、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬を紹介した後にSU薬、α-グルコシダーゼ阻害薬、グリニド薬などについて紹介します。

各薬剤が随時血糖食後血糖どちらをさげるのか、使用時の注意点、シックデイ時の内服の有無について本書に記載されていることを書きます。

体重管理についても本書は書かれていますが、今回は割愛させて頂きます。

薬を紹介していくその前に・・・

シックデイとは

シックデイとは発熱、嘔吐などのため食事がとれない状態のことを言います。シックデイの時は血糖値の変動が激しく、脱水になります。脱水になることを念頭に入れておくと中止する必要がある薬剤はわかってきます。シックデイについて詳しくは後述します。

メトホルミン

随時血糖を下げます。アメリカのガイドラインでは第一選択薬です。eGFR<30ml/minは禁忌です。造影剤当日~投与後2日は中止とします。
有名な副作用に乳酸アシドーシスがありますが、10万人に3人程度の発生頻度です。呼吸不全、心不全、腎機能低下、肝硬変、アルコール依存、脱水、重症感染症の患者などに使用しない限りは基本的に乳酸アシドーシスの発生頻度は低いです。

シックデイ時は脱水による乳酸アシドーシスのリスクを考えて中止することが推奨されます。

SGLT2阻害薬

随時血糖を下げます。おしっこと一緒に糖を排泄するイメージの薬です。心不全に適応が通っている薬剤もあり、心保護、腎保護作用も期待されています。

副作用として尿路感染、脱水、口喝などがあげられます。尿路感染があった場合は一度主治医と継続の可否を相談するようにしましょう。

シックデイ時は脱水のリスクがあるため中止が推奨されています。



DPP-4阻害薬

食後血糖を下げます。1日1-2回服用する製剤なので勘違いしている人も多いですが、この薬は食後血糖を下げます。僕自身も若い頃は知りませんでした。食事が入ってきて初めて血糖値を下げる効果が出ます。インスリンを分泌するように働きかけたり、生体内のグルコースを排泄するわけではないので低血糖のリスクは極めて低いです。絶食時にこの薬剤(他に血糖値を下げる薬剤を服用していないこと)を服用しても低血糖にはなりにくいです。

腎機能、肝機能が許せばメトグルコと同様に使いやすい薬剤です。

シックデイ時は必ず中止しなければならない薬剤ではないです。

GLP-1受容体作動薬、インクレチン関連注射薬

本薬剤は注射製剤です。イメージはDPP-4阻害薬の注射薬といった感じです。食後血糖を下げます。食事が入ってきて初めて血糖値を下げる効果が出ます。DPP-4阻害薬と同様に低血糖は起こしにくいです。DPP-4阻害薬との大きな違いは心血管イベントの抑制効果が期待できます。

週に1回製剤などもありシックデイ時は必ず中止しなければならない薬剤ではないです。

SU剤

随時血糖食後血糖両方下げます。イメージとして写真のように膵臓に鞭打って、インスリンを出す感じです。最初のうちは膵臓も頑張ってインスリンを出せますが、疲弊してしまいインスリンの出が悪くなってきます。

注意点として半減期の長いSU剤特にグリベンクラミドは低血糖のリスクが高いです。ブドウ糖などで一時的に血糖値が戻っても血中からは抜けていないのですぐに血糖値が下がってきます。

シックデイ時は基本的に中止が推奨されます。



グリニド薬

随時血糖食後血糖両方下げます。イメージとしてSU剤の効果が弱い感じです。SU骨格を持っていないが、膵臓に作用してインスリンを分泌するように作用します。SU剤との併用はできません。食直前に服用しなければならない為、コンプライアンスに注意が必要です。

シックデイ時は基本的に中止が推奨されます。

α-グルコシダーゼ阻害薬

食後血糖を下げます。イメージとしては、インスリン製剤でいう即効型インスリンです。食直前に服用しなければならない為、コンプライアンスに注意が必要です。単独では低血糖は起こしにくい特徴があります。腸内に作用して糖の吸収を阻害するように働くためです。

もし飲み残しがある場合は、他の血糖降下薬を検討してもいいと思います。

シックデイ時は必ず中止しなければならない薬剤ではないです。

 

シックデイと低血糖時の対応について

シックデイについて

上でも触れましたが、発熱や嘔吐などのため食事がとれない状態をシックデイと呼びます。

シックデイの際には次の4つの指導を行う。
①脱水予防のため水分摂取をすること
②持効型インスリンは中止しない。
③血糖測定を頻回に行う
④おかゆ、麺類などで糖質やミネラルを出来るだけ摂るようにする

そして次の4つの時には早めに受診することを指導する
①発熱、消化器症状が強い
②24時間にわたって経口摂取が著しく少ない
③血糖値が350mg/dl以上の持続
④意識障害の悪化がある

がん患者は毎日がシックデイという考え方があります。抗がん剤の影響、がんの器質的な影響などで食事がとれない事、発熱すること、吐き気がすることは頻繁です。その場合の糖尿病薬の服薬についてはしっかり話し合っておきたいところです。

低血糖について

本人だけでなく、家族にも対応と症状は伝えておく必要があります。
低血糖の症状は「はひふへほ」と覚えてもらいましょう。
「は」腹が減る
「ひ」冷や汗
「ふ」ふるえ
「へ」変な行動
「ほ」放置は昏睡
なにか一つでも症状が見られたら遠慮なくブドウ糖もしくはカロリーの入ったジュース、食事をとることをお伝えしましょう。間違えても飴をなめるなど流暢なことは伝えないように!低血糖は昏睡などのリスクはありますが、一時的な高血糖で意識を失うことはないです。

低血糖やシックデイをきたすと本人では判断が付かないこともあります。出来るだけ家族にもその辺りをお話ししておきたいところです。



高血糖緊急症

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高血糖高浸透圧(HHS)について触れます。発症するとすぐに入院になります。どちらの疾患も血糖値が500を超えてきますが、原因はことなります。二つの疾患が混ざっていることも多々あります。

糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)

ペットボトル症候群という別名もあるこの症状。血糖値は500mg/dl程度です。1000を超える事は稀でしょうか。原因は絶対的な生体内のインスリン不足です。高齢者に比べて若い人で発症することが多い印象です。

治療としてはインスリンの持続点滴します。インスリンを持続点滴するとKが生体内に吸収されて下がってくるのでKの値をモニタリングしながら補充します。

高血糖高浸透圧(HHS)

血糖値が1000mg/dlを超えてくることもあります。インスリンの絶対量は足りているのですが、脱水により相対的にインスリンが不足している状態です。原因は脱水です。血漿浸透圧が350mOsm/L以上(正常値285-295mOsm/L)。血漿浸透圧はNa値、BUN(尿素窒素)から求めることができます。

血清浸透圧=2(Na)+血糖/18+BUN/2.8

脱水の補正の為、生理食塩水を持続点滴します。それと同時にインスリンを補充し、Kの値を見ながら補正していきます。



血糖管理のために必要な検査

普段の血糖コントロール、インスリンは出ているのか、インスリンに感受性はあるのか大切になります。

HbA1c

1-2カ月の平均の血糖値を推測する値になります。日内変動が激しい場合も同じ値で測定されるのが難点です。日内変動を調べるためには1日の間で何度か測定しておく必要があります。

目標のHbA1cは僕が大学生の時は6.5%未満と学校では習いました。現在では低血糖のリスクから7つに分類されています。

日本糖尿学会のホームページ参照

血糖降下薬を使っての血糖値の下げ過ぎは推奨されていません。

Cペプチド(CPR)

インスリンが生体内で作られているかどうかが分かります。空腹時と食後で計測する必要があります。

HOMA-IR(インスリン抵抗性)

インスリンが作られていたとしても、HOMA-IRの値が大きいと血糖値は中々下がりません。

HOMA-IR=空腹時インスリン×空腹時血糖/405で出します。

この値を出すときは必ずインスリンを投与する前でなければなりません。

糖尿病関連の検査値合併症などの覚え方

空腹時血糖の正常値

70-110mg/dl セブンイレブンと覚えます

糖尿病の生活面で大切なABCDE

AはAlcohol 適度な飲酒
BはBody Weight 適切な体重
CはCigarette Smoking 禁煙
DはDiet バランスの良い食事
EはExercise 運動

糖尿病診療で大切なABCDE

AはHbA1c
BはBlood Pressure 血圧
CはCholesterol コレステロール
DはDont Smoke 禁煙
EはEyes eGFR 眼底検査、腎機能

間食で気を付けたい「あ」のつくもの

甘い物、脂っこい物、アルコール



糖尿病の3大合併症「しめじ」

「し」は神経障害
「め」は網膜症
「じ」は腎症

合併症は「えのき」

「え」は壊死
「の」は脳梗塞
「き」は狭心症

患者さんにインスリンの自己注射を説明する

患者さんは我々医療従事者が思っているよりナイーブです。医療従事者にとってインスリンはよく処方されている薬かもしれませんが、患者さんはそうではありません。患者さんによっては一生旅行に行けない、自分は重症だ、助からないと思ってしまいます。

そんな気持ちに必ず寄り添う必要があります。患者さんの背景、価値観、思いをしっかり聞く必要があります。その上でインスリンの使用方法、低血糖・シックデイの対応などを家族を含めて説明します。

個人的な備忘録

糖尿病患者におけるアスピリンの脳梗塞一次予防効果は明確には出ていません。しかし二次予防という点ではシロスタゾールで脳卒中再発抑制効果があると言われています。

手術前の血糖コントロール、HbA1c7.0未満、空腹時血糖は140mg/dl以下、食後血糖は200mg/dl以下が日本糖尿学会からの推奨。

まとめ

基礎インスリンと追加インスリンの違いを復習しました。各薬剤の特徴をまとめたのとシックデイ時の休薬の確認をしました。糖尿病性ケトアシドーシスは絶対的なインスリン不足で高血糖高浸透圧は脱水が主な原因となっていることを勉強しました。糖尿病関連の検査値合併症などの覚え方は秀逸な物が多く一度見たら忘れませんね。

最後に臨床的知識に薬剤師としての経験年数は関係ないです。若手薬剤師がベテランに唯一勝てる分野が臨床だと思います。逆にベテランは臨床手知識で若手に負けないように精進していく必要があります。みんなで切磋琢磨していきましょう。

 



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